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vol.11 履いて健康になる靴を広めている 若山仁さん
2025.01.10 投稿
町田に暮らす、さまざまな方の町田話を集める『まちトーク』。
第11回は、グリュン・シューズガーデン 代表の若山 仁さんにお話を伺いました。
早速ですが、若山さんのご出身は町田でいらっしゃるのですか?
お隣の相模原市、東林間です。
お近くのご出身なのですね。若山さんは、どうして靴屋さんをされているのですか?
元々実家が靴屋だったんです。その後を継いでる兄が、普通の靴屋さんから健康靴を販売する形に変えました。その結果、忙しくなったことで一緒にやらないか、と言われたのがきっかけで、そこから靴に関わっています。
それまでは、他のお仕事をされていたんですか?
はい。大学の時は体育の教員になろうと思って教職も取っていたのですが、教員になる競争率が高い時代で難しかったため、普通に就職をしました。最初の仕事は婦人服のアパレルの仕事でした。アパレルを2年くらいやって、知り合いのやっていた老人向けの特別養護老人ホームでの介護の仕事に転職をしました。その後、先ほど話をした兄から声がかかって靴の仕事についた、という流れです。
そういう経緯で靴に関わるようになられたのですね。 アパレルから介護のお仕事への転職というのはかなり違う業界ですよね。
そうですね。アパレルにいた時はなにかと数字で評価されてしまうので、もう少し人とのつながりを仕事にできたらいいなという気持ちがありました。教員も人とのつながりですし。そう思って介護の仕事につきました。
人とのつながりがお好きなんですね。体育の教員を目指していたということは、何かスポーツをされていたのでしょうか。
はい。ずっと野球をやっていました。高校まで甲子園を目指してやっていた高校球児でした。神奈川県のベスト8までは行けるような高校だったのですが、その上はなかなか難しかったですね。
神奈川のベスト8はすごいですね!介護のお仕事の後に靴の仕事とのことでしたが、元々ご実家のお手伝いなどはされていたんですか?
全然していなかったんです。部屋に靴を並べるくらいの靴好きではあったんです。しかし兄がどういう靴を展開しているとかも全く興味がなくて、 素晴らしいって話を聞いてから少し興味を持ち始めて見るようになりました。
そうでしたか。いきなりご実家のお仕事は大変でしたか?
実家の店に入る前に、取り扱っている健康靴について修行してこいと、とある健康靴のメーカーさんで仕事をさせていただくことになりました。そこでは2年くらい働かせてもらいました。
どんなお仕事を担当されたのですか?
主に出荷作業などでした。うちのような靴屋とやりとりをしたりしていました。そのおかげで逆の立場からの見え方など、業界を広く見ることができました。それを1年間やって、その後は西武百貨店に出店するタイミングが重なり出向店長という形で1年販売をやりました。
販売をやってみてどうでしたか?
そこで初めて販売の現場に立ちましたが、まぁ売れない売れない(笑)。当時は健康を目的とした靴があることも知られていませんでしたし、ただ高い靴と思われていました。機能はなかなか伝わりづらくて、どうやって売るんだろうということからかなり考えました。その中で販売しながら、フスフレーゲというフットケアも一緒にやるようになりました。
お一人で全部というのは大変ですね。フスフレーゲというのはどのようなものなのですか?
はい。フスフレーゲというのは、フットケアです。フットケアというのは膝から下全般のケアで、発祥のドイツでは医療に近い部分もあるんです。角質のケアや魚の目やタコのケア、爪の巻き爪の矯正などです。これを百貨店のお店の一角で展開していました。
ケアの予約の入っていない時は販売、予約の入っている時はフットケアを行っておりました。
若山さんがお持ちのフスフレーゲや、オーソペディシューテクニックという技術はどのタイミングで、 見につけられたんですか?
この修行をしているときですね。仕事をしながらこの資格のセミナーにも通い修了証もいただきました。
慣れない仕事をされながらというのもすごいですね。
大変でしたが、より一層興味がもてました。大学でも体育をやっていたので、介護学とか、人間工学なども学んでたので、通じるものがあって面白かったです。
ここで大学での学びとつながりがあったんですね。フスフレーゲを提供していることで、 靴も売れるようになってきたのですか?
それはそれ、っていう感じでした。売れるようになったということでいうと、百貨店の靴売り場って広くてメーカー毎の区切りはあまりなかった売り場でした。販売する人はそれぞれのメーカーさんから委託で売り場に来ているので、みんな自分のメーカーを売りたいのが普通です。そうするとお客さんの取り合いになってしまうケースもありました。その時に、自分は売り場にいるときは他のメーカーさんの靴を売るようにしました。それを続けていたら、ある時から、他のメーカーさんの販売員さんが、うちの靴を売ってくれるようになったんです。それを狙っていたわけじゃないんですが、どうせやるならお客さんに喜んで貰いたいなと思っていたので。少しギスギスしていた売り場全体がみんなで売ろうという感じになっていきました。
すごいですね。なかなかできることではありませんね。売り場がブランドやメーカーの垣根を超えてひとつのチームのようになったんですね。このデパートでの販売を1年くらいされてからご実家に戻られたのですか?
そうですね。そろそろ帰ってこいと言われていたので戻りました。
ご実家に戻られて、最初はどんなことをされたのですか?
最初は、普通に販売です。初めは、足を調べるので足型を取るんです。このようなものです。
最初に足型を取るのはなかなかありませんね。
これでその足の状態、歩き方の癖や問題がある場所がわかるので、その問題解決のための靴選びをさせてもらいます。
例えば、この足型からどのような問題点がわかりますか?
まず、わかるのが外反母趾。外反母趾の人はここ(上記画像、指の下の○あたり)に、 圧がかかるのでタコができたり魚の目ができたりしている人が多いです。あとは横に広がっているのでこれ以上広がらないように締めましょう。というのがポイントなんです。 外反母趾の人って、幅の広い靴とか、柔らかい靴を選んでしまうので、どんどん進行してしまうんです。実は逆で、ギュッと締めていかなければならないのです。
さらにこの方は、かかとが内側に傾いているのでそれを持ち上げましょう。ということもふまえて、インソールなどで高くする場所(上記画像、かかとの外側の○あたり)など、調整する内容を具体的に説明します。
(調整、メンテナンス後のインソール)
本当にこの足型だけでわかるんですね!
そうなんです。実際これを見てもらうのが一番わかりやすいんです。百貨店ではこれができなかったので、全部口で説明して売るしかなかったんです。ただ、実家で販売をはじめた時には、こうやって靴を販売するコツがなかなかつかめなくて、いろいろ考えました。兄にもあんまり聞かなかったし、兄とは年も離れていてあまり教えてくれるタイプじゃなかったので。
そうだったんですね。お兄様とはおいくつ違うんですか?
7つ違うんです。3人兄弟で間にもう1人兄がいます。
皆さん、 同じ靴の関係のお仕事をされていらっしゃるのですか?
そうですね。真ん中は靴の修理屋さんをやってます。
すごいですね。 靴一家ですね、
そうですね(笑)
話を戻しますが、ご実家では何年くらいお仕事をされていたのですか?
10年くらいでした。震災がきっかけでした。震災の時は計画停電などもあり、なかなかお客さんも来なくて、1つの店舗で2つの家計を賄うのは大変だったことと、元々独立心はあったこともあり独立を決めました。
そうだったんですね。独立の地として成瀬を選んだのはどうしてですか?
結婚して町田に住んでいたので町田市内に出したかった、というのはありました。こういう靴屋さんは、人通の多いところだとひやかしのお客様も多くなるので一人で対応するのが大変だなと思っていました。お客さん自体、口コミで広がっていくものだと思っていたので町田の駅前などは避けて、小田急線でも鶴川や柿生なども見ましたが、成瀬の雰囲気が一番いいと思ったんです。
成瀬は落ち着いた印象がありますが。
そうなんです。この場所が空いていたので電話をしたら、もう決まってしまったと言われてまたいろいろ探していたんです。2週間後ぐらいに、この場所がキャンセルで空いたとまた連絡があってこれはついてるな!と思ったのですぐに決めました。
本当に明るくて角地でいい雰囲気ですよね。ピンとくる場所とのご縁があったのでしょうか。
本当に!この時はご縁を感じました。
(明るい店舗入口)
(入口から店舗内)
震災後の独立は大変ではありませんでしたか?
そうですね。今だったら怖くてできないですね。その時は、全然不安な気持ちはなかったですね。 ただ開店に関わる事務作業には慣れていなかったので そこは大変でした。
なるほど。様々なことが開店には必要だということですね。ご実家が健康靴にシフトされ、そこに若山さんがコミットしたきっかけのようなものはおありだったんですか?
あったんです。まだ実家に戻る前で老人ホームで働いていた時のことです。リハビリで、みんな歩行練習とかしている時に履いている靴が、ふにゃふにゃのバレーシューズ的な柔らかい靴でした。それではちゃんと歩けないだろう、という違和感を感じてたんです。その後実家の扱う靴を見たり、修行先でいろいろ学ぶうちに健康にいい靴はこういうものだと思ったことがきっかけになりました。
さっきあの、 フスフレーゲに関してはフットケアの一つだとお伺いしましたが、もう一つのオーソペディシューテクニックというのは、どのようなテクニックなのでしょうか。
少し説明が難しいのですが、単純に言うと靴合わせの技術なんです。既成の靴で、足に合わせてインソールを調節すること、足に合った靴を作るということなども含まれます。足の癖や特徴を見極めた上で、足が整った状態のサイズや靴型を見極めて調整します。その人の一番よい状態に持っていくことができる、そして健康になるような調整をする全体的なテクニックになります。
自分に合った靴を履くことで日常で整っていくようなイメージでしょうか。
そうです。 そんな感じです。自分にあった靴は大事だということがわかってもらえたらと思います。
そう考えると、高級な靴ですが、健康への投資と考えればジムやトレーニング、整体などに通うことを考えると決して高いわけではないと感じますね。
(メンテナンスや調整をする機器類)
そうなんです。例えば、膝が痛いとか、腰が痛いなどの症状で病院に行っても治らないから整体に通っていらっしゃる方で、月に2、3万円使ってる方もいるんです。でもなかなか良くならない。行ったときはいいけど、結局戻ってしまうとか、そういう方も靴を変えたら整体に行かなくなったという話も聞きます。メンテナンスしながら履き続けられるのでトータルでは本当に高くはないと思います。
そうなんですね!他にもどのようなお客様がいらっしゃいましたか?
体や痛みが楽になったという方は、たくさんいらっしゃいます。散歩が楽しくなったとか、 行動範囲が広まった、という話もよく伺います。もう、うちの靴しか履けないとか、今までの靴は全部処分したとかそういう人もいらっしゃいます。杖をついて歩いてきたお客さんが、うちの靴を履いたことで帰りには杖がいらなくなったという方もいらっしゃいますね。「あ、杖いらないで歩ける」と、泣いちゃう方もいました。
それは、すごいですね。ところで、店頭にあるこの靴の名前が”MACHIDA”なのですが・・・
これは、僕が監修した商品なんです!ミドルカットであるところなど、足のためのこだわりがいろいろ詰まっています。一度試してもらいたいです。
(MACHIDAと名付けられた靴)
町田の人には気になる一足ですね!最後にご覧いただく方に、 一言お願いします。
はい。まずは、靴の大切さ、足にいい靴の履き心地を知ってほしいです。日本は靴文化が遅れてるので、足の健康靴に関することをもっと知ってもらいたいと思っています。うちの靴を知ったお客さんはみなさん「どうして他にこういう靴がないのかしら」ということをおっしゃいます。足や体が痛くなったり、不具合が出てからこのような靴を探すのではなく、予防的な観点でもこのような靴はおすすめなのでぜひ一度いらしてください。お待ちしています!
貴重なお話をありがとうございました。
MACHIDAという靴、そして健康になる靴、気になります!
若山さんのグリュン・シューズガーデンの情報はこちらから
https://grun-shoesgarden.jp/
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