vol.15 町田で12年。バレエ教室スタジオ シェ モア主宰の山田薫さん

2025.10.08 投稿
町田に暮らす、さまざまな方の町田話を集める『まちトーク』。
第15回は、町田でバレエ教室を主宰されている山田薫さんにお話を伺いました。
最初に、カオル先生と町田との関わりについてお話しいただけたらと思います。

町田の方には、もう28年近く前に引っ越してきて、それからのお付き合いです。私は出身が名古屋なのですが、名古屋時代よりも町田の方が長くなりました。
バレエをずっと続けてきていたので、いろいろなところの貸しスタジオやカルチャースクールでの講師をしていた時、生徒さんたちを育てるために一つの場所をきちんと構えて、一つ一つ丁寧に教えていかなくてはならないと思うようになりました。よくこの建物の横を歩いてて、ずっとここが空いているなと気になっていた場所だったので話を聞きに行ったら、ダンスなどの飲食以外のものをやってみたいと大家さんがおっしゃってたのでここに決めました。

町田に引っ越して来られたきっかけはなんだったのでしょうか

町田には、私の主人の会社の社宅がありまして、転勤で引っ越して来たのがきっかけです。

バレエとの出会いから、今ここに至るまでの経緯を教えてください。

父を早くに亡くしたんですが、今なら治る病気で…肺気腫で亡くしました。その父が社交ダンスをやっていたんです。子どもの頃、父の白いゼッケンをつけたタキシード姿や、パートナーの女性のオーストリッチの羽根がひらひら舞う様子を見て、「なんて素敵なんだろう」と思った記憶があります。

母も私にそういう世界を歩ませたいと思っていたようで、私の名前「カオル」も、宝塚の八千草薫さんからいただいたものなんです。自然な流れで、6歳からバレエを始めました。出身の名古屋では、当時はクラシックより現代舞踊の教室が盛んでしたので、私もそちらに通っていました。でも大人になるにつれ、黒いレオタードや地を這うような動きといったモダンダンスの表現が、自分のイメージする華やかな踊りとは違うなと感じるようになりました。友達のクラシックバレエの発表会を観に行ったとき、ティアラをつけ、トウシューズで輝いて踊る姿に「私もこれがやりたい」と思い、中学でクラシックバレエに転向しました。クラシックバレエは全てのダンスの基礎なので転向してよかったです。

コンクールに挑戦するうちに、名古屋も芸どころでバレエが盛んとはいえ「もっと外の世界を見てみたい」と思うようになりました。芦屋に親戚がいた縁で、法村友井バレエ団に所属し、そこからヴァルナ国際コンクールにも参加しました。森下洋子さんがゴールドを取ったような権威あるコンクールです。私は若く未熟で、予選通過はできませんでしたが、今でも大きな経験になっています。

大阪の法村友井バレエ団も素晴らしかったのですが、やはりもっと広い世界に挑戦したい気持ちが強くなり、東京のチャイコフスキー記念東京バレエ団のオーディションを受けました。最初は「あなたはうちのカラーに合わない。他のバレエ団に行ったほうがいい」と言われ、不合格でした。でも翌年、どうしてもと再挑戦したんです。すると「仕方ないわね」と(笑)。2度目で合格をいただけました。

入団後はありがたいことにすぐ海外公演にも連れて行っていただきました。ちょうど「カブキ」という作品をベジャールさん(注:世界的に著名な振付師)がバレエ団のために振り付けてくださり、その関係でパリ・オペラ座ガルニエ宮での公演にも参加しました。日本人の団体としては初めて、全幕作品を踊ることができたんです。そのオリジナルメンバーの一員になれたのは、本当に幸運でした。

次のステージに移られるきっかけは何だったのでしょうか。

バレエは一生懸命続けていましたが、年齢を重ねると共に、どうしても若い方が頭角を現してきます。そうなると、少しずつ思うように役をいただけなくなってくるんです。そんな時、「このまま続けていくのも寂しいな」「もっと違う楽しさがあるのでは」と思うようになりました。

ちょうどその頃、ミュージカル『カルーセル』の振付に参加する機会をいただいたんです。クラシックバレエ以外で、作品の中のバレエシーンに振付けとして関わるのは初めてでした。実際にやってみて「ミュージカルって面白い」と強く感じましたね。タイミングよく劇団四季のオーディションがあり、挑戦しました。最終面接で、浅利慶太さんから「これからもバレエを続けていくのか、それともどうしたいのか」と質問されたんです。私は「バレエは一生続けると思います。ただ、ミュージカルの世界は未知数で、希望に満ち溢れている未来が見える」と答えました。

すると「まずは子どもミュージカルに参加して、そのままうまくいけば『キャッツ』に出られるようにしてあげる」と言っていただいて…。バレエダンサーとして『キャッツ』に出られるなんて夢のようで、そこを目指してミュージカルの世界に飛び込みました。

でも、品川で『キャッツ』が上演されていた時、本番中に膝の靭帯を断裂してしまったんです。その後しばらく療養に入りましたが、劇団四季はリハビリも含めてしっかりバックアップしてくださいました。そして1年後、地元・名古屋での『オペラ座の怪人』のこけら落とし公演に出演して復帰することができました。その後は、東京・福岡・名古屋と各地で『劇団四季の舞台』に関わることができました。

ただ私はシーズンメンバーといって、作品ごとに参加を決める形だったので、福岡公演を最後に、足の具合もあって劇団四季を退団することになりました。

その後は指導の道へ進まれたのですね。

はい。退団後はカルチャーセンターや友人のバレエ教室で講師を務めていました。ただ、「もっとしっかり生徒を育てたい」と思った時に、カルチャースクールだけでは限界があると感じました。最初の話に繋がりますが、そんな時、町田で天井が高くて防音もしっかりした、広いフロアの物件が偶然空いていて、これはもうチャンスだと思ってスタジオを開いたんです。おかげさまで今年で12年目を迎えることができました。

シェ モアさんは、地域のイベントなどにも参加されていますが、地域との関わりについて教えてください。

まずはここにスタジオを構えたときに、原町田4丁目のお近くのお母様たちがお子さんを習わせたいということで連れてきてくださいました。


そして町田全体もですが、4丁目はお祭りがとても盛大に開かれて女神輿というお神輿を担ぐ会がありまして、私もお祭り好きなのでそれに参加していろいろな方とコミュニティをつなげることができました。それでこの文学館通りで行われる文学館祭りで、路上でのパフォーマンスを毎年やっていました。今年からは道路の整備のためにお祭りが休みになってしまったので残念です。ただ、このご縁で大道芸祭に昨年から参加させていただいており、今年も参加します。

今年は日程的にお子さんたちの参加が難しくなったので大人たちで参加いたします。今回はバレエだけではなくて、私がバレエ団を辞めて少しどうしようかなと思っていた時にお知り合いになったパントマイマーの有名な先生のTEN-SHOさんにも今回はご出演いただくことになりました。仮面を用いるパントマイムをされる方で、私も劇団四季で『オペラ座の怪人』に出ていたので仮面つながりの作品を上演しようかと思っております。

バレエ教室スタジオ シェ モアさんの紹介をお願いします

スタジオシモアはクラシックバレエのスタジオではありますがジャズダンスのクラスもあります。こちらは日中で、マダムの皆さん通ってきてくださっていますし、私も参加しております。あとは私もクラシックバレエをずっと続けてきてやはり体の使い方とかあと怪我などですごく悩んだりしました。私の友人が両股関節の人工関節の手術をなさってその後うちの教室で一緒にレッスンしながら回復して、今度11月の舞台には一緒に立てるようにもなりました。そのように身体能力も少しずつ回復していくクラスもあります。

あとは東京バレエ団のオープンクラスやバレエ学校で教えている先生にも来ていただいていますので最新のレッスン方法や考え方、または動きなども教えていただくことができます。

この記事をご覧いただいている方へ一言お願いいたします

スタジオシェモアはバレエからジャズダンス、ピラティスなど体のメンテナンスに至るまでいろんなクラスがあります。見学は無料ですのでどうぞいつでもいらしてください。
そしていろいろな野外での出し物にも参加していますので、これからも何かいいイベントの出演依頼など、お気軽にお知らせいただければと思います。
ホームページの方からご連絡いただければ私の方からお返事をさせていただきます。

今年は10月11、12日が大道芸祭り、11月24日には町田市民ホールにて、合同の発表会に参加します。そちらでは大人から子どもまで、一つの大きな舞台に立ってこれまでの練習の成果を発表したいと思っております。
よろしければ足をお運びください。

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