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「まち☆ベジ」を代々生産する農業者に話を聞いてみました!

2022.02.10 投稿
はるか
今回ご紹介するのは、町田で農業を営んでいる北島さんです。高校を出てから今に至るまで、生産者として経験したこと、苦労したことなどをじっくりお伺いしました。2019年には、ともかが直売所のお話を伺っています。夏でも新鮮なまま野菜を販売できるように「煙霧機」を使っていたのが印象的でした。(前回の紹介記事は⇒こちら
北島さん、こんにちは。今日も直売所にはたくさんのお野菜がならんでますね。

こんにちは。今は冬野菜がたくさんあります。少し前はもっとたくさんの野菜があったんですよ。

これでもすごい種類だと思いましたが、もっとあったんですね。今日はよろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。

さっそくですが、北島さんは何代目の農家ですか?

私で3代目になります。

そうなんですね。お祖父様の代から今のようにバラと野菜を育てられていたんですか?

先々代は、今とは違い米麦(べいばく)、サツマイモ、養蚕を中心としていて、家畜を1,2頭飼っていました。

今とは違う形だったんですね。お父様の代もまた違う形ですか?

父は祖父の代の多角経営から、畜産の専業農家を目指しました。乳牛を3頭くらいからはじめて徐々に、5頭、10頭、15頭と増やしていきました。

それは社会の変化をみて、畜産に変えられたのでしょうか。

そうだったと思います。私は終戦後の昭和22年生まれなんですが、父は戦争に召集されていました。戻ってきてからは「今までは国のために鉄砲を持っていたが、これからは鉄砲を鍬に持ち替えて、国のために農産物を生産する。」とよく言っていましたので。

重みのある言葉ですね。そのころ既に北島さんは一緒に農業をされていましたか?

私はちょうど高校に入る頃でした。相原高校で農業を学びました。

高校に入る頃には農家の後を継ぐことを決めていましたか?

はい、決めていました。高校を出て父の作った組合で、一緒に酪農に従事するようになりました。父は畜産を目指してからは仲間5人で共同経営を始めて、乳牛を100頭購入し牧場を作っていたんです。農事組合法人相武酪農共同組合という組合でした。

今でこそ農業法人という言葉も時々耳にすることはありますが、当時から組織化されたり畜産に舵を切ったことも含めて、お父様は大きな視点をお持ちだったんですね。

そうだと思います。この組合の牛乳を、東京オリンピックの時に選手村で使ってもらったこともあるんです。

それはすごいですね。では、そのまま組合を引き継がれたんですか?

自分でも後継者になることを考えていたのですが、オリンピックや高度成長期で都市化が進んできました。その影響でこの辺りもかつては田んぼばかりでしたが、家が増えてきました。すると、牧場での糞尿処理の問題に当たりました。父は、この場所で畜産を続けることは難しいと判断し、共同組合を解散しました。私が家庭を持った時に、肩身の狭い思いをしないようにと考えてくれたのかもしれません。そういうわけで私は別の農業を志すこととなりました。

時代の変化に対応されたのですね。そうすると北島さんは最初から農業を始められたのですね。

はい。私は園芸に移行することを考えました。園芸なら地域にも迷惑がかかりませんし、綺麗な花であれば近所の方にも購入してもらえると思いました。

おっしゃる通りですね。すぐに園芸を始められたんですか?

ノウハウがなかったので、神奈川県の海老名市へ切りバラ栽培の研修に1年間通い、バラの栽培方法を学びました。その後昭和50年にバラ園を開業して現在に至ります。

今ではどのくらいの量を出荷されていますか?

200坪のガラスの温室に4500本の苗を植えています。年間にすると10万本以上のバラを市場に出しています。

すぐにはイメージできないくらい沢山出荷されていますね。そういえば、以前の記事でバラは息子さんに譲り、野菜の方に専念されていると拝見しました。

今から10年くらい前に息子がバラをやるというので譲り、自分は野菜を始めたんです。

以前からバラと並行して野菜も作られていたんですか?

家で食べる程度のものを作っていたくらいです。息子にバラを任せたタイミングで、自分は野菜に専念しようと思って始めました。

では野菜の販売は10年ほど前から始められたんですね。

はい。そこから今まで持っていた農地に加えて、借りたり、取得したりし、現在は全部で7000平方メートルくらいの農地でやっています。




倍以上の農地を増やされたんですね。どのような作物をつくられているんですか?

そうですね・・・春から夏はきゅうり、なす、ピーマン、いんげん、キャベツ、レタス、ジャガイモ、里芋、サツマイモ、ネギ、枝豆など。秋から冬は白菜、大根、株、秋じゃが、レタス、ほうれん草、小松菜、春菊、水菜、青梗菜など。冬から春は絹さや、スナップエンドウ(スナックエンドウ)、そら豆などでしょうか。まだまだあるんですが、ぱっと思いつくのはこんな感じです。

すごい種類ですね。

直売所がメインで販売していますが、種類があると来てくれた方に喜んでもらえるのでいろいろ作っています。

この直売所以外に北島さんのお野菜を購入できる場所はありますか?

ほとんどこの直売所ですが、「アグリハウスさかい」や飲食店にも出しています。精肉店などの惣菜を作る専門店の方も買ってくれますね。

こちらの直売所がメインということですね。近所の方が羨ましいです。ところで町田市には認定農業者という制度があると伺いましたが、北島さんは認定農業者でいらっしゃいますよね。

はい。認定農業者の制度ができたのはバラの専業農家の時でした。農業に関する知識を得られる会があり、補助金なども得やすいと教えてもらったので、制度の始めから認定を受けてずっと継続しています。

認定農業者の一期生でいらっしゃるんですね。認定を受けるにはどんなことが必要になりますか?

認定を受けるためには5ヵ年の農業経営の計画を考えて提出する必要があります。この計画は生産意欲があることが前提で、農地の面積、作業人数などを考えていきます。また、機械化等によって労働時間を短縮するように計画することが大切と言われています。ですが、なかなか計画通りに労働時間の短縮はできないので難しいですね。

認定を受けるためには将来を見越した計画を作る必要があるんですね。労働時間の短縮は自然相手のお仕事ですと大変そうに思います。長いこと農業をされていて何か苦労はありますか?

そうですね、最近感じているのは、人に技術を教えることの難しさでしょうか。息子がバラをやるようになり、教えることが難しいと感じています。

少し違いますが親から子へ勉強を教えたり、子から親へ携帯の使い方を教えたりするのも難しいとよく耳にしますね。他にはありますか?

野菜を初めて10年くらいですが、『もう10年もやっている』といった感じで、技術も経験もあると思われることが多いです。でも1年に1度実る作物だと、10回しかやっていないことになるんです。天候もその年によって違うので、毎回手探りのようなものです。そのあたりが大変なことですね。

10年で10回。言われてみたら当たり前のことですが、年数で見るとベテランだと思ってしまう気持ちもわかります。でも毎回違うものですよね。作物を作る時に気をつけていることはありますか?

美味しい!と言われるような作り方、特に肥料については研究していますよ。技術的なことはしっかり研究しないとできないと思っています。例えば、作物によって適正な窒素の量(ph)が異なるので、それぞれに合う要素を考えて混ぜています。土壌の良し悪しで作物の出来が違うことも体験しています。

土づくりにも細かい気配りと技術が必要なのですね。逆に作っていて嬉しかったことはどんなことでしょうか?

作物のタネから苗にして、畑に定植します。土づくりは先ほど話した通りなのですが、その結果、作物そのものが持つ形、味、色つやを出せた時はよくできた!と思います。常にその状態にできるようにと思ってやっています。

作物本来の持ち味が出せた時ということですね。ご自身で出来栄えはわかりますか?

やはり客観的に見て欲しいので、農業祭での品評会などに出品して自分の出来具合を判断してもらいます。

農業の品評会はそういう意味もあるんですね。賞も取られていらっしゃいますよね?

はい。賞もいただいています。ただ美味しい安全と自分で謳って売るだけではなく、客観的な評価をもらうことで自信がつくと思います。自信がつくことで、お客様にも胸を張っておすすめすることができます。

先ほどお邪魔した時にもお客様とお話しされていらっしゃいましたね。

お客様は顔馴染みの方が多いのでよく話をします。昔はどこに住んでいる誰かまでわかっていたけど、今はお客様も増えたので、顔はわかるけど名前はわからない人がほとんどになりました。お客様は、「おじさん、奥さん」と親しく話してくれるのでありがたいですね。

声をかけやすいのも直売所ならではという気がします。周りの方といい関係が築けていらっしゃるんですね。

そうですね。直売所は無人ですがお金を払わずに持っていく人はほとんどいないんです。売るところと作業場も近いので、「お釣りある?」とか、「もう品物ないの?」とか声をかけてくれるんです。

お客様も良い方ばかりなんですね。

そうなんです。なので、私も美味しさや新鮮さはもちろんですが、より良い品物を提供したいと思って作っています。
そんな野菜を買ってくださるお客様へ一言お願いします。

エコ農産物にも参画して美味しく安全な野菜を作っています。安心して買ってください。

安全というのも大切なことですよね。安全面に関してはどのようなことをされていらっしゃるんですか?

農薬の使い方、肥料の量をきちんと守っていることが第一だと思っています。例えば、目に見えないからといって、収穫後に虫が出ることがあっても消毒はしないようにしています。そうすると外の葉を捨てる必要があるので勿体ないですが、食べる人のことを第一に考えたら当たり前のことだと思います。また、先日は里芋の検査をしてもらいました。農薬や肥料成分について問題ないという通知証明が来ました。知らないからなんでもいいわけではなく、お客様のために自分がしっかりしないといけないと考えています。

私たちが安全に食べられるように考えてくださっているんですね。本当にありがたいです。北島さんのこの先の目標などはございますか?

そうですね。私は農業が好きなので自分が体が動くうちは続けたいと思っています。目標としては、80歳まであと6年は続けたいです。

80歳まで続けられるには健康でいることが大切かと思いますが、健康のために気を遣っていることはありますか?

これといってはありませんが、年相応に体に気を遣わないといけないかなと思っています。病院での検査も早め早めにしてもらいながら、80歳を超えても続けられるようにしたいと思っています。周りには迷惑をかけるかもしれませんが(笑)。もちろん80歳は目安なので、それを超えてもできたらいいと思っています。

後ろで奥様が笑っていらっしゃいますね(笑)。80歳を超えてもお元気で、美味しい野菜を作ってください。今日はありがとうございました。





農業が好きで、畑仕事が健康法という北島さん。バラを任せた息子さんとは売り上げで競争し、今のところは野菜の北島さんが勝っているそうです。写真を撮影する時には、必ず奥様を呼んで一緒に撮影する愛妻家の一面も。とても仲の良いお二人と、ご家族を中心に作られているお野菜は本当に美味しいです。
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